裁量売買に棲む魔物とは?

北海道は一年でベストのシーズンが近づいています。
あと一週間もすると、道端の花壇一面にチューリップ、クロッカス、その他色とりどりの花が
一斉に咲き誇り、特に札幌は雪解け以降の道路のメンテナンスが行き届いていますので、散歩を
していても気分爽快になります。
さて、自分の「裁量」で行う株やその他の投資売買では、私は、「魔物」が棲んでいると思っています。
”魔物” と聞くと、ギョッとしてしまいます。
でも裁量で投資の売買を行っていると、この恐ろしい ”魔物” が時として出没してきます。
この ”魔物” の正体とは?
私も皆さんと同様に、ずっと前は、株式、現物、信用、日経225指数売買、全てで自分自身で売りと買いのタイミングを "裁量" で判断してい運用していた時代がありました。
今では遠い昔の話です。
その頃には、まだ現代の様なインターネットの光回線とかは未発達でした。
確か、アナログの電話回線を使ったADSLとか、携帯の極めて速度の遅いメット回線がで始めた頃だと
記憶しています。
主に、株式の売買の注文は、街の株やさん、を通して電話でやり取りしている時代でした。
株式の売買を判断するのに色々な法則を ”カジッて” 一端の投資家になったつもりの頃でした。
自分で判断する裁量売買こそが株式投資の本筋、とばかりに、今から思い返すと、かなり気取っていた
頃のお話です。
数多くの銘柄を売買していました。
その頃はバブル絶頂期で、まさに、”イケイケドンドン”、で株を買えば上がる、株をやらない人は
貧乏人、フツウー人で何かしらの株を持つ、これが当たり前、常識、この時代でした。
数十銘柄を保有していて、新聞の株式欄を見るのが楽しくて仕方ない時代でした。
含み益も数百万円にもなっていて、何をやっても成功する、儲かる、投資をすればするだけ幸福感に浸る、世の中そんな感じでした。
今では想像すら出来ないような ”超バブルの時代” を経験してきました。
ある朝いつもの様に車で出勤中、いつも聞く朝のニュースを楽しみに聞いていたところ、
”昨日の株価、日経平均が◯◯千円急落しました、、、、”とかの話題を耳にしたのです。
この時は、日経平均が大きく急落したという事実は受け止めていて、保有する数十もの銘柄の含み
損失を冷静に計算していたのも記憶しています。
ただ、実際に計算して、〇〇百万円程度の急落か、ま~~~そのうち戻るだろう、とまさに気楽に
考えていたのです。
今から思うとゾッとしますが、当時は、株価は下がれば買うもの、でした。
私もココぞとばかり、ナンピン対応の絶好のチャンス到来、とばかりに更に数百万円を注ぎ込み
同銘柄を全て多めにナンピン買い。
急落後少し戻して、しめしめ、絶好のタイミングで買い、正解、とばかりにほくそ笑んでいたのも
よく記憶しています。
ところが、数十日後、株価がまたもやドカンと急落。先回の急落より以上の下げ幅で、さすがに
”なにか違う” という感覚に襲われたものでした。
この時はさすがにナンピン対応は見送りました。これが、結果的に少しは救われたものです。
株価は更に下へ下へとダラダラ毎日下げの連続。
もはやナンピン買い、などと意気がっているときではなくなっているのに気付いたものでした。
その後はまさに悪夢の連続。
日々、株価はダラダラと更に下げるのみ。
保有していた数十の銘柄を売ろうにも損失額を計算していると、心の奥底で”いや、この先保有しておけばいつかは上がる、その時まで我慢、我慢” まるで悪魔のささやきです。
まさに我慢でしたが、その頃の株式投資での我慢の意味は、我慢すれば程なく良い時に戻れる、という
幻の期待感が常にバックにありました。
本当の意味での、”苦しみぬく様な我慢” ではなかったのです。
全部売ってしまって精神的に楽になる方が良いか、いや、このまま再度上がるのを ”我慢しようか ”、仕事をしていても、酒を飲んでいても、どこかにこの葛藤が頭をよぎたものでした。
株価は日々まだダラダラと下降していきます。
総保有の含み損益を計算していて、これ以上とても経済的に保たない、と判断できた時はもうその
含み損はそれまでに投資で儲けた総額を遥かに上回る様な額になってしまっていました。
いつか上がる、いつか戻る、いつか、いつか、、、、でした。
この言葉で躊躇の連続、判断すら全くできない精神状態だったと思います。
結局は保有銘柄全ては大損の状態で全銘柄損切りで幕引きとなってしまったのです。
結局は、ロスカットが全く出来なかった、いや、やろうとしなかった、この一語に尽きます。
これは私の唯一の大失敗だった訳ですが、裁量売買で行う投資売買スタイルでは、自分自身の判断で
全ての投資判断を行うが為に、損失が出た際の「ロスカット」という投資にいちばん大切な行為が、
自分の判断、自分が決めたことが正しい、自分が、自分が、、、、 この自浄脳内作用によって失われてしまう、という事だろうと思います。
自分の判断が間違っていた、損切り=ロスカット で損失を確定しよう、この様に投資活動では当たり前に思える「損失の確定」が全く出来なくなってしまう、これがまさに ”魔物が棲んでいる” という事なのです。
この”魔物” は裁量で投資活動を行っている際には、肝心な時に(嫌な表現ですが)必ず現れるものなのです。
人間である以上、これは、「いかんともし難い」という訳ですね。
大変痛い思いを被ったおかげで、それ以降、私はこの”魔物”から逃れる方法を考える様になったのです。
この投資での ”魔物” から逃れる方法は???
答えはたった一つです。
「人間の脳を規律に従わせる様に 訓練、鍛錬、する事」、これしかありません。
投資活動で一番邪魔をするもの、極論をすれば、”魔物” を排除する事は、一定の規律に従って
売買を行う事、即ち、人間の ”素晴らしい脳活動” を避ける事、→ 即ち一定の規律、命令に基づいた機械的な売買を行わせる事、これしかありません。
私もバブルの大損からやっとこの事に気づいたのです。
以降、機械的な売買が出来る事 → 自分がベストと考え得る売買のロジックを入れ込んだ機械(コンピューター)で稼働させる売買システムを作り上げる事、この事を思い立って以来、売買のロジック
の発想にチャレンジしてきた訳です。
ロスカット、一見、無駄なような響きですが、これは投資活動を ”継続する” 際には最も重要な要素です。
このロスカットの考え無くして正常、且つ、素晴らしい、と言える売買ロジックは存在し得ないと考えています。
ここまで、いろんな売買ロジックを思い立ち売買ソフトに仕上げて、実証を繰り返してきましたが、
ここにきて、初めて xBid Pro の 「Nash均衡+誤差範囲特定」 という独特の売買ロジックにたどり着いたのです。
結果はこれまで、大満足のいく売買結果を叩き出しています。
勿論、ロスカットを大前提にした売買ロジックになっています。
このロスカットについて、次回以降でもう少し深堀りしてみたいと予定しています。
次回以降をお楽しみになって下さい。