【2024年 日本経済の現状と今後の改善点を考えてみる】

2025年もはや12月に入り、今年の日本経済の動きと、来年度以降、何を改善すればより経済にプラスとなるのかを考えてみました。

自動車産業とインバウンドの復活

2024年、 日本経済は複雑な局面に立っています。一方で、自動車産業とインバウンド需要が日本経済の復活を支える重要な役割を果たしてきました。今年の1〜3月期には、自動車メーカーの不正問題や工場の稼働停止が原因で実質GDP成長率がマイナス0.5%まで落ち込むなど、厳しい状況が続きました。しかし、4〜6月期以降、自動車工場の再稼働により、自動車の生産と販売数が回復し、実質GDP成長率もプラスに転じる見込みです.

自動車産業の再活発化は、円安傾向が続く中で特に重要です。日本最大の基幹産業である自動車生産の回復は、輸出を通じて日本経済の成長を押し上げる原動力となり得ます。また、新型コロナ禍の規制解除と円安の影響で、インバウンド需要も大幅に増加しています。インバウンド消費は2019年の水準を上回り、2024年の1年間における消費額は7.9兆円ほどになると予想されています。こうした「サービス輸出」が好調な状況は、自動車産業とともに日本経済の復活と成長を支える重要な要素となっています].

建設業と運輸業の苦闘

しかし、すべての業界が同様に好調なわけではありません。建設業と運輸業は、引き続き厳しい状況に直面しています。建設業では、工事にあたる人員不足やマイナス金利政策解除による企業の設備投資減少、個人の住宅購入控えが顕著です。また、資材の高騰も重なり、中小零細の建設業者にとっては特に厳しい状況です.

運輸業も同様で、人員不足や新たに施行された労働時間の規制が業界全体を悩ませています。両業種とも、成長や回復どころか減退傾向が続いており、日本経済を維持する上で不可欠な産業であるため、外的要因に大きく揺さぶられる現状から脱するための経済政策が求められます.

個人消費の緩やかな上昇

個人消費については、失業率の低下や労働参加率のわずかな上昇、定額減税の実施や主要企業の春季賃上げ、最低賃金の引き上げなどが要因となり、個人の可処分所得が増加する見込みです。これにより、個人消費も緩やかに上昇する可能性があります。しかし、円安による物価高騰や金利の上昇が重なるため、住宅の購入や海外旅行などの大規模な支出は引き続き控えめになると思います.

金利差と円安の影響

日本とアメリカの金利差も注目すべきポイントです。日本がマイナス金利政策を解除したものの、引き続き緩和を維持する一方で、トランプ氏のアメリカは現状のインフレを注視したうえでの高金利維持の方針を貫くため、近い将来に金利差が縮小する可能性は低いです。特に、アメリカ大統領選挙での金利引き下げの公約がFRBの方針変更に結びつかない限り、金利差は引き続き日本経済に圧力をかけることになると思います.

人口減少と少子化の課題

日本経済の長期的な課題として、人口減少と少子化が挙げられます。2024年の出生数は70万人を切る可能性があり、過去10年間で加速度的に急減しています。人口動態の分析から、出産の年齢層である27〜36歳の女性人口が減少していることが明らかです。この減少は、長期不況が若年世代の結婚環境や子育て環境を悪化させた結果と考えられます。

少子化対策として、岸田政権は異次元の経済支援策を打ち出しましたが、その成果として、現実には出生数の減少が止まっていません。結婚の促進や初任給の引き上げなどが必要とされています。特に、24〜32歳の女性人口が若干ながら増加しているため、この世代が多くの子供を産むことができれば、少子化に歯止めをかける最後のチャンスと言えるのですが。

「お上頼み」からの脱却

日本経済が真正に衰退から脱するためには、これまで染み付いてきた、「お上頼み」、の風土から脱却することが必要だと考えます。政府の経済対策が規模ありきで、民間の活力を抑制している現状は改める「必要があると考えています。官製ファンドの膨張や政府の投資が民間の投資を圧迫することは、経済の成長を妨げる要因となります。

企業も政府を意識したり頼ったりする風土を返上し、株式市場に目線を移す必要があります。例えば、りそなホールディングスの公的資金完済や成長戦略の鍛え上げは、企業の自立を目指した増資と市場との対話の結果として実現出来ました。このような「脱・お上」の姿勢が、日本経済の真正な復活を導く鍵となり得ると思います。

結論

日本経済は、自動車産業とインバウンド需要の復活によって一定の成長を見込めますが、建設業や運輸業の苦闘や人口減少、少子化などの深刻な課題も存在します。個人消費の緩やかな上昇や金利差の影響も考慮する必要があります。

しかし、最も重要なのは、「お上頼み」という「染み付いた風土からの脱却です。政府と企業がそれぞれの役割を明確にし、民間の活力を尊重する姿勢が必要です。そうすることで、日本経済は真正に衰退から脱し、未来に向けた成長を実現できるのではないでしょうか。

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