【 老いるミセス・ワタナベ、そしてFX市場の未来~ 】

円相場、30年後は巨大な振り子に???

「ミセス・ワタナベ」――。
かつて世界を相手に円を売買し、市場を動かす存在として注目を集めた日本の個人投資家たち。
しかし、その中心世代である団塊世代の高齢化が進み、FX市場は大きな転換期を迎えています。
30年後、日本の個人投資家が市場から姿を消したとき、円相場はどうなってしまうのでしょうか?

老いる「ミセス・ワタナベ」、FX市場の防波堤が消える日

1998年の外国為替法改正以来、日本のFX市場は「ミセス・ワタナベ」と呼ばれる個人投資家を中心に成長を遂げてきました。
彼女(彼ら)たちは、長年の経験で培った相場観と、円高・円安両方に賭けることができるレバレッジという武器を手に、世界の為替ディーラーを相手に巨額の利益を上げてきたのです。

しかし、時代は流れ、かつての「ミセス・ワタナベ」たちは高齢化しています。
外為どっとコム総合研究所の調査によると、FX取引参加者に占める50代以上の割合は、2009年度の2割から、2023年9月時点では5割を超えました。
一方、若年層のFX離れは深刻で、20代以下の割合は1割を切っています。
この状況が続けば、30年後にはFX市場から個人投資家の姿は消え、市場は大きく縮小している可能性があります。

FX勢不在の未来、円相場は巨大な「振り子」と化す?

FX市場の縮小は、円相場に大きな影響を与える可能性があります。

FX勢の特徴として、相場の流れに逆らう「逆張り」の姿勢が挙げられます。
円高が進むと円を売って円安を促し、円安が進むと円を買って円高を促すことで、為替レートの安定に貢献してきました。
しかし、FX勢が市場から姿を消した場合、この「逆張り」による調整機能が失われ、円相場は乱高下する可能性があります。
メガバンクの為替ディーラーは、「FX勢はいわば為替市場の防波堤。
彼らがいなくなれば、相場の値動きは荒くなり、円安・円高の振れ幅が大きくなるリスクがある」と指摘しています。

実際に、2019年には米中貿易摩擦を背景に世界経済の先行き不透明感が高まり、円高が進む場面がありました。
しかし、当時のFX勢は円売り注文を出し続け、円高の進行を抑制しました。
もし、この時FX勢がいなかったとしたら、円高はさらに急激に進み、日本経済に大きな混乱をもたらしていたかもしれません。

企業経営にも影を落とす、為替リスクの増大

FX市場の縮小は、企業経営にも大きな影響を与える可能性があります。

為替レートの乱高下は、海外との取引が多い企業にとって大きなリスクとなります。
輸出企業は円高になると収益が悪化し、輸入企業は円安になると仕入れコストが増加します。
為替レートの変動リスクが大きくなれば、企業は事業計画を立てることさえ困難になりかねません。
また、M&Aや工場進出などの海外投資にも影響が出ることが懸念されます。
為替レートの変動によって投資収益が目減りするリスクが高まれば、企業は海外投資に慎重にならざるを得ません。

さらに、為替リスクの増大は、株式市場にも影響を与える可能性があります。
海外売上比率の高い企業の株価は、円高になると下落しやすくなります。
為替レートの変動が大きくなれば、株式市場全体のボラティリティも高まり、投資家心理を冷やす可能性があります。

30年後の未来に向けた処方箋とは?

では、30年後の日本経済がこのような危機に直面しないためには、どのような対策が必要なのでしょうか?

まず、FX市場の活性化が挙げられます。
若年層の投資を促すためには、FXの魅力をわかりやすく伝えるとともに、少額で投資できるサービスなどを提供していく必要があるでしょう。

また、企業は為替リスク管理を強化していく必要があります。
為替予約や為替デリバティブなどの金融商品を活用し、為替変動による損失をヘッジする対策が重要です。
さらに、海外市場への分散や現地生産体制の構築など、為替変動の影響を受けにくい事業構造への転換も検討していく必要があります。

そして、政府は安定的な経済運営に努める必要があります。財政健全化を進め、日本経済に対する信認を高めることで、円相場の安定にもつながります。

FX市場の縮小は、日本経済にとって大きなリスク要因です。
30年後の未来を見据え、今から対策を講じていく必要があります。

今後の円相場のFX市場での動向、この動向次第で日経平均株価も大きく影響を受けます。

ミセス・ワタナベが去った今、円相場は大きくアップダウンする可能性が大きくなってきています。
為替相場の変動にはこの先より一層の注視が必須となってきました!!


  
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