【ラタン・タタ氏が86歳で逝去しました】
インド大手財閥タタ・グループの名誉会長を務めたタラタン・タタ氏が86歳で逝去しました。
タタ氏は20年以上にわたりタタ・グループを率い、インド経済の発展に多大な貢献をした国際的にも著名な実業家で
した。
日本では決してあまり注目されている大企業とは言えませんが、特に、タタ氏は2007年に英蘭鉄鋼大手コーラスを
買収し、翌年には英国の代名詞的な高級車ブランドで存在感のあるブランド、 ジャガー や ランドローバー と
いう世界に有名な企業を、植民地国であったインドの一企業が元の宗主国 英国の代表的企業を傘下に収める
という事もやってのけた事で注目されてきました。
性格は争いを好まず、温和で、どちらかというと人と接するのが苦手の方で、内にこもるシャイな性格の方だった様ですが、
その独自の経営方針でインドでの巨大企業に育て上げた人物です。
内にこもるようなシャイな貴方にも、 明確な目標さえ持てば人は何でもできる、 その典型の様な方でした。
数人の女性とのお付き合いはあったものの、生涯独身の理由を聞かれると、自分の性格が内向きな故、と常々答えて
いた、との事です。
華美を好まず、自己資産は邸宅と別荘のみの極普通の市民生活で、彼の死後にはその全てを売却し社会貢献資金
としてあてる様になっていたそうです。
この姿勢は、彼が物質的な富よりも精神的な豊かさを重視していたことを示しています。
以下、その功績と人となりの一面です。
インドでは、まるで 日本の経営の神様、松下幸之助翁 の様な存在だったのでしょうか。
タタ・グループの倫理的経営と社会貢献
タタ・グループは、汚職が根強くはびこるインドに於いて、独自の倫理的経営で知られています。
グループは以下の3つの主要な方針を規則として義務付けるユニークな経営形態を採用しています:
- 賄賂の禁止:インドでは汚職が根強く存在する中、タタ・グループは賄賂を恐れず禁止しています。
これは、公正かつ透明性のある事業運営を行っていく、という強い倫理観に基づいています。 - 特定極限への政治献金の禁止:タタ・グループは、特定の団体に対する政治献金を行わないことを規則で明記しています。 癒着を避けています。
- 収益の一定割合の社会還元:グループの収益の一定割合を社会貢献活動に充てることを義務付けています。
これは、創業者ジャムシェトジー・タタ氏の「企業の存在目的は社会貢献である」という理念に基づいています。
これらの理念は、ラタン・タタ氏も受け継ぎ、「国民のために自分にできる最大限のことを考えている」という言葉を口癖のように語っていました。さらに、グループの保有株会社であるタタ・サンズの自己資本の66%は、独立した慈善団体であるタタ・トラストが保有しています。
これにより、グループの利益の大部分が社会貢献活動に還元されまする仕組みが確立されています。
国際的な事業展開と決意
ラタン・タタ氏の指導力の下、タタ・グループは国際的な存在感を増しました。
2007年には英蘭の鉄鋼メーカーコーラスを前進し、世界を驚かせました。
コーラスの経営陣と握手を交わす姿が報道され、インド企業による大規模な国際競争として注目を集めました。2008年には英国の高級車ブランドである ジャガーとランドローバー を約23億ドル(約2400億円)で買収しました。
タタ氏はこの企業買収に際し、 「ジャガーとランドローバーは英国のブランドであり、英国のまま「あるべきである」 と
表明し、ブランドの伝統と価値を尊重する姿勢を示しました。
国内向け事業と社会貢献
特に注目されたのが、10万ルピー(約17万7000円)という低価格の小型車「ナノ」の開発でこの決意は、インドの経済発展や庶民の生活向上に貢献したい、というタタ氏の強い願いから生まれたものでした。さらに、タタ・グループは純国産車「インディカ」の開発にも熱心に取り組みました。
これらの取り組みは、インドの自動車産業の発展と、より多くのインド国民が自動車を全部できるようにという社会的な目標を反映したものでした。ラタン・タタ氏の指導の下、タタ・グループは国際的な事業展開と国内向けの製品開発をうまく両立させ、グローバル企業へと成長していく途中、インド国内の経済発展と生活向上にも大きく貢献、その倫理的経営と社会貢献の精神は、インド経済界のみならず、世界のビジネスリーダーたちにも深い影響を与え続ける事と思います。
やすらかなご冥福をお祈り致します。